ステージIV非小細胞肺癌に対するニボルマブ(オプジーボ)+定位放射線治療SRT

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    肺癌, nivolumab, オプジーボ, 放射線
     いま免疫治療と放射線療法の併用が、免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果を高めるとの報告がなされています。特に手術不能局所進行非小細胞肺癌(ステージ靴糧鷯細胞肺癌)の症例に対しては化学放射線治療+抗PD-L1阻害薬(デュルバルマブ、イミフィンジ)が一般的に使用されています。
     日本赤十字社医療センターからの報告で先日のJJCO誌に掲載された「Nivolumab and SRT for the treatment of patients with Stage IV NSCLC」(JJCO 2019;49:160-164)について勉強しました。免疫治療と放射線治療は今後一般的なコンビネーションになっていくのでしょう。  

     

    【背景】
    〇放射線療法は免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果を増強させるがん免疫環境を整えるとされている。
    〇化学療法治療前の進行非小細胞肺癌に対してSRT後のニボルマブの実現可能性の試験を行った。
    【方法】
    〇未治療の進行/再発非小細胞肺癌症例が病変部位の1つにSRTで治療された。
    〇3mg/kgのニボルマブはSRT終了後に2週毎に投与され、病勢進行あるいは許容できない有害事象の発生まで2週毎に投与継続された。
    〇主要評価項目は12週以内のグレード3の肺臓炎の発生率と8週間以内の非血液毒性とした。
    【結果】
    〇2016年9月から2017年9月までに6例が登録された。
    〇5例が初回の病変に対してSRTを受けた。
    〇すべての症例でSRT完遂後にニボルマブによる治療を受けた。
    〇グレード3の肺臓炎は1例で認めたが、他の症例で報告された重篤な有害事象はなかった。
    〇4例で放射線照射外に計測可能病変を認めていたが、そのうち3例で治療によって反応していた。
    〇初回増悪は放射線照射がいに主に認め、1例は脳転移であった。
    【結論】
    〇SRT後のニボルマブによる治療は許容可能である。
    〇この逐次的併用療法はさらなる研究が望まれる。

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    Uncommonな遺伝子変異を持つEGFR陽性肺腺癌症例に対する1次治療としての第1世代EGFR-TKIと化学療法の比較

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       データが非常に限られているため、EGFRのUncommon変異を持つ進行肺腺癌症例では治療の選択に難渋します。中国からの報告で「Efficacy and long-term survival of advanced lung adenocarcinoma patients with uncommon EGFR mutations treated with 1st generation EGFR-TKIs compared with chemotherapy as first-line therapy」(Lung Cancer 2019;130:42-49)について勉強しました。
       結果の解釈に困りますが、EGFR-TKIで開始してもよいが、あまり引っ張りすぎないように、というメッセージなのか。OSが明らかに負けているので初めからプラチナ併用化学療法にしましょう、と捉えるか。悩みどころです。現状では第2世代のAfatinib(ジオトリフ)を使用するのか、第3世代のOsimertinib(タグリッソ)を使用するのか、はたまたプラチナ併用化学療法や複合免疫療法でいくのか、やはり悩みどころで答えはないような気がします。個々の症例で密にフォローしながら治療していくしかないものと考えます。

       

      【目的】
      〇UncommonなEGFR遺伝子へにを持つ進行肺腺癌症例の1次治療として第1世代EGFR-TKIかプラチナ併用化学療法が効果的なのか長期の生存に関連するのか明らかにすることを目的とした。
      【方法】
      〇進行肺腺癌と診断された4276例の検体からZhengzhou大学のAffiliated Cancer病院においてEGFR遺伝子を検出した。
      〇臨床所見、生存、治療、1次治療後の治療についてUncommon変異のある症例で集められた。
      〇この結果はcommon変異の症例と比較された。
      肺癌, EGFR, uncommon
      (Fig1:本研究のフローチャート、上記文献より)
      【結果】
      〇Uncommon変異のある症例では、1次治療としてEGFR-TKIあるいはプラチナ併用化学療法では奏効率(33% vs 27.1%、p=0.499)、病勢コントロール率(76.5% vs 87.5%、p=0.194)で違いを認めなかった。
      〇EGFR-TKIは化学療法に比べて無増悪生存期間は上回った(7.2カ月 vs 4.9カ月、HR 0.604、p=0.0088)が。
      化学療法と比較して全生存は有意にEGFR-TKI初回治療群で悪かった(14.3カ月 vs 20.7カ月、HR 1.759、p=0.0336)
      〇多変量解析では転移巣(HR 2.24)、喫煙歴(HR 2.048)がUncommon変異のある肺腺癌症例において全生存と関連する独立した予後因子であった。
      肺癌, EGFR, uncommon
      (Fig2:uncommon/common変異での無増悪生存期間と全生存期間、上記文献より)
      【結論】
      〇化学療法と比較して1次治療での第1世代EGFR-TKIの使用はEGFRのUncommon変異のある進行肺腺癌症例において短期間の効果の改善を認めたが、プラチナ併用化学療法が長期の生存を示した。

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      【TROG09.02 CHISEL】切除不能1期非小細胞肺癌に対する定位切除放射線療法(SABR)は標準照射に比べ局所制御が良好

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        肺癌, 放射線治療, CHISEL, SABR
         ステージ1症例は基本外科的手術です。しかしながら高齢であったり、基礎疾患の関係で手術が困難な場合が実臨床ではしばしばお見掛けします。放射線治療に関してはほとんど知識がないのですが、肺癌治療は集学的なので先日のLancetOncology誌に掲載されました「Stereotactic ablative radiotherapy versus standard radiotherapy in stage 1 non-small-cell lung cancer (TROG 09.02 CHISEL): a phase 3, open-label, randomised controlled trial」(Lancet Oncol 2019)について勉強しました。
        【背景】
        〇定位切除放射線療法(SABR)は手術不能ステージ1の非小細胞肺癌に対する治療として広く使われているが、標準放射線治療と比較して局所制御や生存の延長を改善したという前向きのエビデンスがない。
        〇2つの治療法を比較することを目的とした。
        【方法】
        〇他施設、第3相、無作為化コントロール試験はオーストラリアの11の病院とニュージーランドの3つの病院で行われた。
        〇患者群は18歳以上、PETにより診断され生検によって確定したステージ1(T1-T2aN0M0)の非小細胞肺癌で、医学的に手術不能あるいは手術を拒否した症例とした。
        〇患者群はECOG-PS 0/1、腫瘍は末梢に限局しているものとした。
        〇患者群はT因子と手術可能かどうかで層別化された後、無作為に2:1に振り分けられ、
         SABR群(54Gy/3Frあるいは腫瘍が胸壁から2cm未満であれば48Gy/4Fr)
         標準放射線治療群(施設での好みに応じ66Gy/33Fr、50Gy/20Fr)
        とした。
        〇臨床医、患者、データ管理者は振り分けられた患者群の治療は分からないが、治療の割り当て時にオープンラベルとなった。
        〇主要評価項目はSABRは標準放射線治療群と比較して局所制御が有意に上回る結果だろうとの仮説のもと、「局所治療失敗までの時間」とした
        〇効果の解析はITT集団で行った。
        〇安全性の解析はper-protocol(治療継続)群で行った。
        【結果】
        〇2009年12月から2015年6月までに101例が登録され、SABR群(66例)、標準放射線治療群(35例)に無作為に振り分けられた。
        〇SABR群の5例(7.6%)と標準放射線治療群の2例(6.5%)は治療を受けず、さらにそれぞれ4例ずつが試験が行われる前に脱落した。
        〇データカットオフ時(2017年7月)に、フォローアップ期間の中央値は標準放射線治療群で2.1年(IQR 1.2-3.6年)、SABR群で2.6年(IQR 1.6-3.6年)であった。
        101例中20例(20%)で局所増悪に進展しており、
         SABR群66例中の9例(14%)
         標準放射線治療群35例中11例(35%)
        であり、診断から局所治療不成功までの期間(FFTF)は標準放射線治療群に比較してSABR群は有意に改善した(HR 0.32、95%CI:0.13-0.77、p=0.0077)

        〇局所治療成功期間(TTF)は両群とも未到達であった。
        〇SABR群で1例がグレード4の呼吸困難、7例がグレード3の咳嗽、低酸素、肺感染症、体重減少、呼吸困難、疲労感を認め。標準放射線照射群では2例のグレード3の胸痛を認めた。
        【解釈】
        〇手術不能のステージ1非小細胞肺癌において、標準放射線治療に比べSABRは主要な毒性を増やすことなく主病巣の局所制御が勝っていた。
        〇この試験結果はSABRがこれらの患者群において最適な治療選択肢となりうるだろう。
        肺癌, 放射線治療, CHISEL, SABR
        (Fig2:局所治療不成功までの期間、上記文献より)

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        進行肺癌における早期の緩和治療と化学療法の治療強度の関連

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          肺癌, 緩和, 治療強度
           早期の緩和治療と化学療法の関連についての論文が先日のJTO誌に掲載されたので「Association of Early Palliative Care With CTx Intensity in Patients With Advanced Stage Lung Cancer: A National Cohort Study」(JTO 2019;14:176-183)について勉強しました。
           患者さんサイドから考えれば早くから症状緩和の専門チームが介入することはとてもメリットのある事のように思います。全力で化学療法を行うことも大事ですが、強力な化学療法を行うこと自体が本来の目的ではありません。


          【はじめに】
          〇進行肺癌は予後不良であるが、化学療法や早期の緩和治療は予後やQOLを改善することが示されている。
          〇緩和治療と化学療法を受けることの関連は調べれていない。
          〇進行肺癌症例において、化学療法を受けることやその治療強度と早期の緩和治療が関連があるかどうかの因子について探し求めた。

          【方法】
          〇national Veterans Health Administrationでの後ろ向きコホート研究においてステージB/鹸肺癌症例は2007年1月から2013年12月に診断された。
          〇早期緩和治療は癌診断から90日以内に専門家による緩和治療を受けた症例と定義づけた。
          〇評価項目は様々な化学療法による治療と4サイクル以上のプラチナ併用療法、3ライン以上の化学療法、ベバシズマブ+セツキシマブを含む3剤併用療法、2011年以前のエルロチニブ療法、ソ末期での化学療法で定義された高治療強度を含む。
          〇ロジスティック解析は、患者群や腫瘍の背景によって調整された後、早期緩和治療と化学療法の関連の決定因子のために使用された。
          【結論】
          〇23566例のコホート全体で37%が早期緩和治療を受け、45%が何らかの化学療法を受けた。
          〇早期緩和治療を受けた症例の中で、34%が化学療法を受け、早期緩和治療を受けていない症例では51%が化学療法を受けていた(調整OR 0.55、95%CI:0.51-0.58)。
          〇早期緩和治療を受けた症例は高強度の化学療法を受けた割合が減っていた
           4サイクル以上のプラチナ併用療法(調整OR 0.68、95%CI:0.60-0.77)
           3ライン以上の化学療法(調整OR 0.61、95%CI:0.53-0.71)
           3剤併用療法(調整OR 0.68、95%CI:0.56-0.82)
           2011年より以前のエルロチニブ(調整OR 0.66、95%CI:0.55-0.79)。
          〇早期緩和治療を受けた症例は最期14日で(調整OR 1.65)、30日で(調整OR 1.67)早期緩和治療のない群と比較して化学療法を受ける可能性が高かった。
          【結論】
          〇早期緩和治療は多くの化学療法や高強度の化学療法を受けることの減少と関連があった。
          〇しかしながら終末期に化学療法を受けることは早期緩和治療を受けていない群に比較して早期緩和治療を受けている群は多かった。
          〇進行肺癌症例において早期緩和治療は患者さんのパフォーマンス、好み、ケアの目標に応じて生活の質に焦点を当てることで、化学療法を受けるための患者選択を最適化し、高強度の化学療法の使用を減らすことができる。

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          肺癌治療におけるナブパクリタキセル(アブラキサン)と間質性肺炎の関連

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             背景肺に間質性肺炎を認めると、治療関連の間質性肺疾患の増悪が懸念されることから抗癌剤治療や免疫治療をためらいます。また臨床試験でも既存の間質性肺炎がある場合には試験から除外されていることが多く、その発生頻度や増悪率は明らかになっていません。
             以前、間質性肺炎合併非小細胞肺癌に対するカルボプラチン+ナブパクリタキセル治療についての報告を「肺癌勉強会」ブログでも取り上げました。
             今回、日本医大病院におけるナブパクリタキセル治療を行った症例と間質性肺炎についてのJJCO誌の報告「ILD associated with nabPAC treatment in patients with lung cancer」(JJCO 2019;49:165-173)が掲載されましたので勉強しました。

             

            【背景】
            〇ナブパクリタキセルは肺癌症例の治療として示されている。
            〇間質性肺疾患が引き起こされることがあるが、実臨床下でナブパクリタキセルに関連する間質性肺炎の発生率は決められていない。
            〇当施設でナブパクリタキセルを受けた肺癌症例において間質性肺疾患の発生率を調査した。
            【方法】
            〇2013年4月から2017年9月に日本医科大学病院にてナブパクリタキセル(±カルボプラチン、ベバシズマブ)によって治療された進行肺癌症例の臨床データを見返した。
            〇間質性肺疾患は臨床症状、画像的所見と他の疾患の除外で診断された。
            【結果】
            〇110例の進行肺癌の症例がナブパクリタキセルにおる治療を受けており、9例(8.2%)が間質性肺疾患に進行した。
            〇間質性肺疾患に進展した症例のうち。8例はステロイドで治療され、「3例はシクロホスファミドパルス治療を行った。
            〇HRCTでは7例でDADパターン、2例でOPパターンであった。
            〇DADパターンの肺臓炎を引き起こした6例は呼吸不全から亡くなった。
            〇OPパターンの肺臓炎の2例は回復した。
            間質性肺疾患の発生率は
             既存の間質性肺炎を持っている症例で19.0%(8/42)
             既存の間質性肺炎のない症例で1.5%(1/68)

            であった。
            〇既存の間質性肺炎を認めた6例(14.3%)間質性肺炎の急性増悪の定義を満たした。
            【結論】
            〇ナブパクリタキセルに関連する間質性肺疾患は重篤で致命的な有害事象であった。
            〇DADパターン、OPパターンの肺臓炎や既存の間質性肺炎の存在がナブパクリタキセルに関連する間質性肺疾患の割合が高いことと関係することを示した。

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